YouTubeが「YouTube Select」を発表。テレビCMに代わるブランディングの中心になるか。
YouTubeは、2020年5月19日「YouTube Select」と呼ばれるoogle Preferredをリプレイスする広告配信サービスを発表した。これはTVCMに近い形で動画広告を購入できる仕組みで、今後は大規模な動画ブランディングサービスの中心になるだろう。
先日日本でもネットの広告費がテレビの広告費を上回ったというニュースがあったが、Youtube Selectによりこの動きはますます加速していくかもしれない。
※この記事はアメリカ版のリリースを元にしています。日本版の正式な情報は確定していませんのでご注意ください。
Youtube Selectが始まる
YouTubeは、テレビに対抗するため、広告プラットフォームの拡大に向けた取り組みを続けている。
今週、彼らはYouTube Selectと呼ばれる刷新された広告オプションを発表した。これは、2014年に開始されたGoogle Preferredプログラムに取って代わるものになる。
まず、Google Preferredって何?
Google Preferredは、従来のテレビの購入に近い広告購入方法ができる広告システム。
使用できる広告主は限られており、最低年間の支出の要件を満たしている場合にのみ利用できるというものだった。
米国とカナダでのみ利用可能であり、YouTubeのプラットフォーム上で安全かつ人気のあるプレミアムなコンテンツに広告を配置することができるというものだった。
在庫の購入方法は広告のインプレッション数に基づく支払いの他、 1 日の費用に基づく支払い(日別単価制)で費用を払うことができ、これらはオークションを通さず、「予約制」という形でプレースメントの確保を行っていた。
予約制であることにより3日〜3週間前に広告の予約設定をする必要があり、その分の広告は確実に配信されるという形になる。
一見、WEB広告の先進的な入札を損なったわずらわしい方法に思うかもしれないが大きなメリットがある。
Youtubeを予約制で購入することのメリット
- 固定レートでインプレッションを購入できる
- YouTube トップページの上部への広告掲載が保証される
- TVと同規模の幅広いユーザーにブランドをリーチ可能。
(オークションにかからないので対象ユーザーが限定されない。)
また、配信ターゲティングとしてはYouTube で人気の高い上位 5% のチャンネルにおいて、特定の市場への関心が高いオーディエンスに広告を表示されるので安心感もあり、いわゆる危ない動画への配信はほぼ無いというメリットもある。
Google PreferredはYoutube Selectにリプレイスされる形で2020年末までに段階的に廃止される予定らしい。
YouTube Selectは日本でも展開されるか
まず、Google Preferredとは異なり、YouTube selectは世界中で利用できるようになる。おそらく日本でもそのうち導入され、大手の広告代理店を中心に今までTVCMを展開していた広告主に販売されていくことだろう。
このターゲティングでは、”エマージング・ラインアップ “と呼ばれるコンテンツのミックスも紹介されてて、そのラインアップは、美容/ファッション/エンターテインメント/テクノロジー/スポーツなどが含まれる見通し。このラインアップを選択して配信することでカテゴリを定めつつも幅広い人に配信できるようになる見通しだ。
Youtubeは「テレビ画面」を次の狙いにしているか
視聴者が外出先から自宅で視聴する消費が加速しているため、「テレビ画面」はYouTubeにとってさらに価値のあるデバイスとなっている。たとえば米国では、1億人以上が毎月YouTubeとYouTube TVを「テレビ画面で」視聴している。
YouTubeはここ数ヶ月の間に、テレビ画面でのブランドリフト測定を広告主に拡大したり、スキップ可能な広告フォーマットを提供するなど、テレビ上で視聴される動画分野での競争に本腰を入れていることを示す動きをしているようだ。
また、YouTube Selectの提供するサービスには、「YouTubeオリジナル」と呼ばれるYoutube主導の番組や専用のテレビストリーミングのラインナップも含まれる見込み。
恐らく、Youtubeストリーミングを中心にテレビ番組に近い動画コンテンツのストリーミングが増加していくことだろう。
日本でも、従来のテレビ制作会社はテレビ番組からNetflixやYoutubeの制作に移行してくかもしれない。
Youtube SelectとTVCMを比較したデータもある。
2016-2018年に米国でニールセンはMMMのメタ分析を依頼した。
そこでは①YouTube Selectラインアップ、②その他のデジタル、③テレビの3つの媒体を比較測定を行い、MMM分析の73%において、YouTube Selectラインアップの方がテレビよりもROIが高いという結果になった。
ブランドの安全性に関する懸念を払拭できるか
YouTubeは過去に、質の高いコンテンツの安心感を得るために苦労してきた。
有象無象のクリエイターのためのハブでありながら、広告主がプラットフォーム上で双方の満足度を維持するために、信頼できるブランドセーフティを導入するという絶妙なラインを歩む必要があったからだ。
YouTubeは、恐らく動画の安全性や違法性をスコア付して、Youtube Selectのために基準を設けていくだろう。ちょうど、昨年、彼らはまた、コンテンツのテレビ画面の視聴時間と動画の制作価値を評価するプラットフォームと制作の基準を追加している。
参考:Googleからの公式発表
https://youtube.com/intl/ALL_fi/ads/youtube-select/
https://www.blog.google/products/ads/introducing-youtube-select/
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